根拠のない誤情報に惑わされないで!!

【固体高分子形電解法は危険であるという誤情報に関する見解】

・グリーン水素を知ってますか?

(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso_tukurikata.html より)

 次期クリーンエネルギーとして期待されている水素ガス。その水素ガスは、化石燃料から作られるグレー水素、ブルー水素と水の電気分解によって作られるグリーン水素と分類されています。グリーン水素では、水を電気分解するので、純度の高い水素ガスが得られます。これは、工業用に用いられることが多いですが、一般用にも使われており、工業用だからといって、不純物が混在しているわけではなく、グリーン水素は非常に純度の高いガスです。

・固体高分子(PEM)型水電解装置とは?

 グリーン水素を作り出す水の電気分解では、純水を電気分解する方法があります。水の中を電流が流れるアルカリ水電解法とは異なる固体高分子形水電解法です。固体高分子形水電解法ですと、H+(プロトン)がイオン交換膜の中を流れますので、純水を電気分解することができます。純水を電気分解するわけですから、水素ガス(H2)と酸素ガス(O2)以外は生じません。そのため、さらに純度の高い安全な水素ガスが得られます。同時に、酸素ガスと水素ガスは別の場所で生成されるので、水素ガスは、酸素の影響を受けません。もしかして、なんらかの作用で有毒なオゾン(O3)が発生したとしても、オゾンを含まない水素ガスを取り出すことができ、さらに安全と言えます。

 

・一般水素ガス発生装置も固体高分子形電解法を用いています。

 最近家庭やサロンで広く使われている水素ガス吸入器や水素水の発生装置では、この固体高分子形電解法が広く使われています。グリーン水素ガスの多くは工業用に使われていますが、工業用とは言えない一般的な使い方でも、固体高分子形電解法が使われています。医療機器として認可されていない機器の場合でも、固体高分子形電解法を使って、純度の高いグリーン水素ガスが得られていると言えます。

 

・水素ガスの吸入と水素水の飲用の安全性は、繰り返し確認されています。

 医療ガスとして認可されるための厳密な方法で行われた治験(臨床試験)では、水素ガスの人体への安全性が確認されています。水素水の飲用や、水素ガスの吸入の人体への安全性を確認する多くの研究では、固体高分子形電解法の用いて生成された水素ガスも用いられています。

 

・固体高分子形電解法は危険であるという誤情報

 ところが、最近、固体高分子形電解法で生成された水素ガスは危険であると主張する人が出てきました。どうも、昨年の8月に水素ガスを吸っていた中国人の90歳の方が一人亡くなったので、危険だという根拠のきっかけとなったようです。この方が水素ガスを吸い始めたのが4月だそうで、4ヶ月を経て、90歳の方が1名亡くなったからといって、死亡の原因が水素ガスの吸入と判断するのは、あまりに無理があります。水素ガスを吸い始めたら急に亡くなったというなら、考えられなくもないですが、この例が水素ガスが危険であるという科学的根拠にはならないでしょう。

 

・Dupont社のイオン交換膜

 この固体高分子形電解法に用いられているイオン交換膜の多くはDupont社の製品です。そのDupont社が自社製品で作った水素ガスは危険であるとコメントを出したという噂が流れたので、危険だという論に拍車をかけたようです。しかし、実際の声明は以下のようで、有害であるとは一言も述べていません。

 「製品の使用条件は当社の管理外であるため、デュポンは明示的または黙示的な保証を行わず、この情報の使用に関連して、またはそれに依存して得られた結果に対して義務または責任を負いません(製品情報日本語版)」。Dupont社は、医療器具を扱う会社ではないので、責任を持てないというのは当たり前です。

 さらに、Dupont社は次のような注意喚起をしています。「注意:人体への永久埋め込みを伴う医療用途には使用しないでください(製品情報日本語版)。」Dupont社のイオン交換膜を体内に埋め込む医療行為はしないと欲しいということは、医療用に認められた素材以外は、体内に埋め込まないでくださいといっているだけで、当たり前のことを述べているだけで、有害であるとは述べていません。

 

・水素ガス発生装置の寿命

 Dupont社の製品情報には、「このポリマーは化学的耐性があり、耐久性があります。」と記載されており、有毒物質が発生することはあり得ないことが示唆されています。

 最近の水素ガス発生装置の寿命は4000時間とか5000時間、あるいはそれ以上というものが増えてきています。もし、固体高分子形電解法のシステムのどこからか、有毒物質が流出したとしたら、4000時間も安定的に水素ガスを発生することができません。このことを考えると、このシステムに使われている素材全体が安定で、有害物質を多量に放出しているとは、否定できます。

 

 

・誤情報には気をつけましょう。

 いろいろな観点から検討してきましたが、固体高分子形電解法を用いた水素ガス発生装置自体が危険であるという論拠は科学的でないと結論できます。

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