水素の測定に関する定義と標準、および認証

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水素の測定に関する定義と標準、および認証


 

2017年9月14日に中国広州において国際分子状水素協会の主催により開催された国際水素産業開発フォーラムにて公表した国際水素標準化協会(International Hydrogen Standards Association: 略語 IHSA) の最初の推奨内容を報告します。

IHSAの中心委員は以下の通り。
Shigeo Ohta (日本)
Gae Ho Lee (大韓民国)
Xue Jun Sun (中華人民共和国)
Shucun Qin (中華人民共和国)
Tyler W. LeBaron (アメリカ合衆国)

はじめに

現在、世界中で、医学および生物学の研究者と一般市民は、様々な病気の治療、健康維持と病気の予防のために、水素ガス吸入、水素を溶解した水(水素水)などを含む分子状水素を用いた治療について学んでいます。分子状水素の有効性は、発表された科学研究結果に基づいています。しかし、水素濃度、摂取量、その他の必要条件に関して、治療や予防のために使われる水素製品の定義または標準が、科学者によっても公的機関によっても、提唱されていません。
この状況によって、水素製品の産業、メディア、政府とマーケット市場において、混乱を生じさせることになりました。分子状水素は、無色無臭で味もない気体ですので、消費者は、濃度はもちろん、これらの製品の中に分子状水素が存在しているかさえ、知ることは難しいのです。
そこで、世界中の水素医学に関する専門家の科学者は、分子状水素関連商品の国際標準を統一的に議論して定めることにしました。私たちは、2016年9月に国際的水素標準協会(IHSA)を設立しました。IHSAによるこれらの定義と標準を定めることによって、科学研究の発展を促進し、責任ある水素産業を導いて、消費者を保護することになるでしょう。

このIHSAの文書では、水素水は、分子状水素を溶存している水または液体と定義します。分子状水素は、化学式ではH2です。以下の内容は、IHSAによる認証のための水素水の標準についての提唱です。この内容は、2017年9月15日に公表されました。

水素濃度を決定する方法

ガスクロマトグラフィー(GC)は、分子状水素を測る主要な方法と考えています。GCは、化学分析の専門家にとって最も信頼できる方法です。手短に言えば、この方法では、完全密封容器の中で、水に溶けている水素を空気相に排出させます。そこで空気相の水素ガス濃度をGCで測定し、水素水の水素濃度を決定します。GCによる測定の標準的な測定法については、誤差を少なくするために別途、測定法を定めます。
IHSAは、水素に特異的に反応する電極を用いた方法を第二の方法として採用します。いくつかの電極は、現在商業的に販売されています。しかし、各々の電極を調べてみると、利点と欠点があります。このような理由で、今後、推奨すべき水素濃度測定用の電極は慎重に選ぶことにします。そして、標準的な測定手順(SOP)がIHSAで決定されます。IHSA認証の使用目的以外にもIHSAは簡便な測定方法を推薦するかもしれません(例えば異なる種類の電極、センサー、H2Blueなど)。これは、HSA認証のための測定ではなく、一般の消費者が利用できるように、いくつかの適切な方法も認めます。しかし、水の中の水素濃度を測定する方法として酸化還元電位(ORP)を使うことは認めません。ORPの低下が水素水の特徴の1つではありますが、ORP自体は水素濃度を示してはいません。このような理由で、ORPが水素濃度の測定のための方法としては使用すべきではないと考えています。

水素濃度を示す単位(Unit)

水中の水素濃度については、IHSAはmg/Lの単位を使用する事を推奨します。この単位の使用によって、一般に混乱をまねくことを防ぎます。たとえば、ppm(ppm)は、消費者にはよく知られていて、よく使われています。しかし、ppmは、様々な濃度を意味することがあります。そのため、混乱を招く可能性があります。例えば、化学の分野では、溶媒の重さに対する水素の重さ(wt/wt)がひとつです。もうひとつは、気相の体積に対する水素ガスの体積です(vol/vol)。水素がガス状の分子であるので、これらの2つの方法がしばしば混同して使われます。また、モル濃度や体積にたいする重さなども使われるときがあります。同様に、物理の分野では、ppmは長さの比例現象(α=12 ppm/℃)や測定の不確実性(正確な場合1 ppm)、あるいは分光学におけるケミカルシフト(2 ppm)なども使われており、さらに、ppbは国によっては1/109のほかに1/1012を意味することがあります。さらに、ppmは国際的標準単位(SI)としては使用が認められておらず、ISO推奨にも使用が認められていません。ここでは、水素水の標準とその認証には、ミリグラム(mg)、そして、ミリグラム/リットル(mg/L)を、それぞれ、水素の量(重さ)と濃度として採用します。

水素濃度と摂取量

必要水素濃度と必要摂取量については、多くの議論と考慮を重ねてきました。摂取すべき水素の最小量は、飲む溶液の最大量を考慮して、1日の摂取量として考えるべきだと、提唱します。最大限として1 Lの水素水を飲む場合でも、または500 mLの飲料量を摂取する場合でも、少なくとも1日に0.5 mgのH2を摂取することを標準とします。

細胞レベルで最小限の有効量(MED)とH2の最小限の効果的濃度(MEC)を完全に知るためには、さらに多くの研究が必要であることは、よく理解しています。理想的には、その半減期と薬物動態学/薬力学に基づく最適時間要因で、必要服用量は体重あたりの必要量でmg/kgで示すべきです。しかし、従来の薬物と違って、H2には一つの/特定のレセプター/標的または器官機能がないと考えられるので、この提唱はある意味では将来を見据えた提案です。MEDとMECは年齢、体重、病気、遺伝学、腸のバクテリア、食事、その他に基づいて異なります。しかし、IHSA推奨は単に現在の細胞研究、動物実験と人間の臨床研究に基づき標準を決定しています。現段階ではまだ完璧でなくて、さらなる生物学的医学的な研究に基づいて変更される可能性があることをお断りしておきます。

数値を決定した根拠

分子状水素財団(MHF)によって記しているように、人間に対する臨床試験の研究では、1日0.5 mg~1.6 mgあるいはそれ以上の濃度が使われています。この結果をもとにして、MHFあるいは、韓国の水学会が公に設定した濃度を用いてIHSAでは設定しています。ここでは、最低限の水素の標準を正当化するための科学的文献を評価しました。

従来の薬とは異なり、H2はレセプターに結合しないので、齧歯動物(マウスやラットなど)と、人間がH2の同程度の等価量を必要とすると考えることは合理的です。水1リットルで最低0.5 mgの量のIHSA標準は、動物と人間の低用量研究で一致した結果がでています。たとえば、パーキンソン病のマウス・モデルでは、0.08 mg/mLの濃度で効果があり、それ以下の0.04 mg/mLでは効果がないとFujita K.ほか(2009)が報告しています。興味深いことには、1日につき0.08 mg/mL濃度の水素水をマウスが飲んだときには、人間ではおよそ0.5 mgのH2(0.08 mg/L x 0.005 L/0.05 kg x 60 kg = 0.48 mgのH2)を摂取していることと同等です。同様に、0.04 mg/mLの濃度の水素水では、人間でおよそ一日あたり0.25 mgに対応します。さらに、服用量として0.5 mg以上を摂取すべきという提唱は、もう2つの人間に対する研究結果に基づいています。
1つの人間に対する研究(Ito M.ほか2011)では、患者が0.5 mg/mLの水素水を0.5リットル飲んで、一日に0.25 mgを摂取しました。この低用量では、効果は観察されませんでした。そこで、a)またはb)の2つの可能性が考えられます。a)は、高い濃度の水素水をある程度の量飲んだとき、または、b)はある程度の低い濃度で多くの量を飲んだときでは、同じように効果があることがわかりました。同じ論文の予備データ(オープンなラベル試験)は1リットルの水(1日につき0.5 mgのH2)を使いました。そして、有意な効果が観察されました(患者が1日1 Lを消費するのに対し、プラセボ対照試験で0.5 L飲用しました)。別の人間に対する研究では、H2を0.5 mg/mLの水素水1リットルを供給され1日あたり0.5 mgを飲用した場合には、有意な効果が示されました(Song Gほか2013)。

濃度だけでなく服用量も加えた水素量の推奨

ある水素濃度(例えば0.8 mg/L)を設定するだけでは、飲用する水素量が異なれば、実際の摂取量を同じであると考える事はできません。例えば、0.5 mg/Lの水素水を1リットル飲む場合のほうが、1 mg/Lの水素水を250 mL飲むことよりも多くの量の水素を摂取することができます。この考えに基づいて、水素濃度だけでなく飲用量も考慮にいれた摂取量を推奨します。

飲用すべき量

低濃度水素水を大量に(例えば0.1 mg/Lの5 L)摂取することによって、0.5 mgのH2摂取量に達する事はできます。しかし、以下の点が問題となります。1)あまりに多くの水素水を飲む事は難しいです。もうひとつの可能性2)は、低濃度のH2を0.5mg摂取しても等しい治療効果がでないかもしれません。これは、細胞濃度が「未知の」最小の必須の濃度(例えば5-10μM)に達しないかもしれないからです。さらに、水素の効果は容量と細胞内濃度に依存するだけでなく、摂取する頻度にも影響を受けるかもしれません。例えば、水素ガスを絶え間なく吸入した場合や、消化できない多糖類(例えば、ラクチュオース)を投与した場合には、腸内細菌が増加して腸内細菌が水素を作り出し、水素水を飲んだときよりもはるかに多い量の水素を体内に取り入れる事ができます。しかし、パーキンソン病モデル動物で見られたように、水素ガスを絶え間なく吸入した場合や、ラクチュオースを投与した場合では効果がなく、水素水を飲んだ場合に効果が限られるからです。最適な容量、摂取の時期、投与方法を理解するには、さらなる科学的研究が必要です。

以上に述べたような人間に対する研究を基礎として、現在の水素水の推奨では、水素水は、最大で1リットル、特別の飲料(ジュースや炭酸水、お茶類)の場合は、500 mLと設定しました。

認証基準

包装された容器入り水素水の場合
1) 供給時に1 Lにつき少なくとも0.5 mg以上であること。
a.最小限の濃度は、0.5 mg/Lとします。
b.1日に1 L以下の水素水を飲むことは、大部分の人々のために現実的です。
2) 毒素/重金属に対する安全検査に合格していること。
3) 0.5 mg/Lの最小限の濃度を以下の期間維持していること。
a.賞味期限を定めた場合は、賞味期限まで
b.または、明記されていない場合は少なくとも6ヵ月の間
4) pHは、9.5を超えないこと。
5) 水素研究と水素産業の信憑性を害する虚偽記載や有害な内容記載がされていないこと。

水素水以外の特別な飲料(ジュースや炭酸水、お茶類)の場合
1) 500 mL内に少なくとも0.5 mgを含むこと
a.最小限の濃度は、1 mg/Lとなります。
b.H2の豊富な特別な飲料を1日に500 mL以上飲むことは、健康のために推奨できません。
c.しかし、各々の飲料は、ケースバイケースで評価されます。 例えば、H2製品が刺激物または他の潜在的に有害な成分を含むならば、500 mL以下に設定されます。
2) 毒素/重金属に対する全検査に合格する事。
3) 1 mg/Lの最小限の濃度を以下の期間維持すること。
a.賞味期限まで
b.または、明記されていない場合は少なくとも6ヵ月の間
4) pHは、3から10にわたることを許容します。
5) 水素研究と水素産業の信憑性を害する虚偽記載や有害な内容記載がされていないこと。

水素水生成装置の場合
1) 水素水装置の場合、原水に関わらず(例えば5.8~8.6のpH範囲によるRO水またはミネラルウォーター)、一人分を1リットルにつき少なくとも0.5 mgのH2を供給すること。
a.最小限の濃度は、0.5 mg/Lです
b.1日に1 L以下の水素水を飲むことは、大部分の人々のために現実的です。
2) 毒素/重金属に対する安全試験に合格していること。
3) 0.5 mg/Lの最小限の濃度を以下の期間維持できること。
a.製造保証の期間の間
b.または、表記されていない場合は、少なくとも1年(ただし、購入後の時間ではなく、使用期間)。
4) 原水(例えば5.8~8.6のpH範囲によるRO水またはミネラルウォーター)に関係なく、pHは5~9.5の範囲であること。
5) 水素研究と水素産業の信憑性を害する虚偽記載や有害な内容記載がされていないこと。

具体例

製品は、多くの方法で1リットルにつき0.5 mgの標準を満たすことができます。
たとえば、各々の製品では、1 L で0.5 mgの服用となるように提供する必要があります。0.5 L未満のどんな容量でも、以下の理由によって0.5 mg/Lの最小限の濃度を必要とします。

0.5 mg/Lの缶入の水素水が250 mLの場合、0.125 mgのH2しか供給できません。しかし、4つの缶を飲用すればその合計では、1リットルを摂取することになり、H2は0.5 mgに達します。このように、製造商品の表記で1日につき4缶飲むことを勧めなければなりません。同様に、0.5 mg/L の濃度の500 mLの一人分は、0.25 mgのH2を提供するだけです。製品の1Lを摂取してはじめて0.5 mgとなります。この場合は、製造商品の表記で1日につき少なくとも2つ飲むことを推奨します。さらに、製品が0.8 mg/Lの濃度で750 mL量ならば、を提供するならば、1日1 L(例えば1.34本分)を飲むことを勧める必要があります。

あるいは、250 mLの容器が2 mg/Lの濃度であるならば、各々の一人分が必要な0.5 mgとなりますので、1缶だけでよいと推奨することができます。同様に、1 mg/Lの濃度の500 mLでは、1日につき1本飲むことで良いことになります 。

最後に、水素水製品または水素水生成装置では、濃度が0.5 mg/L未満である場合は、製品1リットルにつき0.5 mgのH2の摂取ができないので、認証される事はありません。

その他の水素関連商品でも、IHSAによって評価されたその他の水素関連商品では、同じような基準によって認証標準化されます。

• 水素ガス吸入装置
• 水素化粧品
• 水素入浴
• 水素シャワー
• 添加物(例えばタブレット)によって水素を生成している水素水
• 添加物(例えば錠剤)によって水素を生成する口頭投与する水素
• その他

参考文献

Fujita, K., Seike, T., Yutsudo, N., Ohno, M., Yamada, H., Yamaguchi, H., Sakumi, K., Yamakawa, Y., Kido, M.A., Takaki, A. and Katafuchi, T., 2009. Hydrogen in drinking water reduces dopaminergic neuronal loss in the 1-methyl-4-phenyl-1, 2, 3, 6-tetrahydropyridine mouse model of Parkinson’s disease. PloS one, 4(9), p.e7247.

Ito, M., Ibi, T., Sahashi, K., Ichihara, M., Ito, M. and Ohno, K., 2011. Open-label trial and randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover trial of hydrogen-enriched water for mitochondrial and inflammatory myopathies. Medical gas research, 1(1), p.24.

Song, G., Li, M., Sang, H., Zhang, L., Li, X., Yao, S., Yu, Y., Zong, C., Xue, Y. and Qin, S., 2013. Hydrogen-rich water decreases serum LDL-cholesterol levels and improves HDL function in patients with potential metabolic syndrome. Journal of lipid research, 54(7), pp.1884-1893.

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